△祈り
“神様!!”
いとも容易く頭に響く叫びは叫ばれた。
手を差し伸べる者も無く。耳を傾ける者も無く。
孤独な叫びは“何故”と問いかけ続ける。
“何故なのです!何故、答えてはくださらないのです!”
穏やかに色鮮やかな硝子を通った陽光が、キラキラと降り積もり、
まるで、この世は何の悲しみもなく、
この悲嘆を偽りだと否定されたような哀しみが、湧き上がってきた。
愚か。
どう祈ろうとも、無言を貫く存在に、疑いを持たざる得ない。そして、それは罪だ。
自らの首を絞める罪悪を振り払おうと、喘ぐような喉元で暴言を飲み込み、最後にもう一度、問いかけた。
“何故!何故!救いを示してはくださらないのです!!”
反響する絶叫が晴れると、世界の沈黙は忽然と構えたままだ。
何故だ。何故だ。何故だ。身の内で暴れる獣が嘲笑って、鋭い犬歯で柔らかい肉を余すところなく食い破っていく。
最後の一口が食われた時、濁った眼が空を仰ぐのを止め、両手は解放され、
静かな断末魔が世界を殺した。
【殉教者】
自らの信仰の為に命を捨てた者を指す。
あとがき
前までが準備編で、ここからが接触編です。
sirenの設定上、ラスボスが神様なので、神様云々〜とかそういう毛並みの話がここから沢山でてきますが、
あくまで、フィクションであり、ほぼでまかせなので、深く捉えない感じでよろしくお願いします。