収穫祭 :収穫祭(ハーベスト・フェスティバル)とは作物の無事の収穫を祝う農村などで行われるお祭りである。
      だいたい作物の収穫時期が重なる秋(11月くらい)に行われる。
      どうぶつの森の村では村人達も自宅で料理を作り出し、
      村長もごちそうをこしらえて皆でお祝いをする。


どうでもいいあらすじ

秋が深まり村で紅葉とキノコが目立ち始めたこの頃、らすぼす村も例外なく村の広場に特設会場を作り、 この秋の実りを村人へ振る舞う収穫祭を行うことになっていた。 しずえ秘書はどうせなら本格的にシェフをお呼びしようと動き、 用意されたテーブルには村の果物やキノコ、魚を使った前菜から始まるフルコース料理が予定されている。 そして、当日。やってきた魚料理推奨派のシェフ(七面鳥)の指示に従って村長は食材を集めることになった。 木を揺らしたり、キノコ採ったり、魚を獲ったり。
村人が欲しがっているものを用意して他の食材を交換してもらったり、料理の隠し味を決めたり……

これは本当に村長がしなければならない仕事なのか。











・ハーベストと吉良

ゴゴゴゴゴ
「今年もこの時がやってきた」
「吉良……今年もやるのか、“狩り”を」
「小麦粉、砂糖、バター、ビネガー(酢)、ミルク、どれもデパートでは注文できない品だ。
 それがこの収穫祭のイベント期間は村人との物々交換で手に入れることができる」
「……デパートって、本来そういう食糧を率先して入荷すべきなんじゃないのか?」
はやめろとか言っていたような」
「確かに。お祭りの本来の目的とは異なってしまうが、来月は大晦日、再来月には正月がある。
 には悪いが、ここで一年分手に入れない手はないんだ。
 ―――と、まぁ、この日の為に既に有給も取ってしまったんだけどね」
フ……フハ……フハハハハハハ!
「……。……どうしたのだ今日の吉良は? 頭もスイカなのだ」ボソボソ
「……どうやら、今日の吉良は“ハイ”のほうみたいだ。普段が普段だ。見守ろう」ボソボソ
「この吉良吉影、容赦はしないぞ! 容赦せんせんせん!フハハハハ!」




・村の物流

「それらの食糧の話なんだが」 ガチャ
「ディアボロ、お帰り」
「ああ……冬場の部屋の温度差は心臓に負担がかかってヤバいな。
 それで、食材の話なんだが、どうして他の住人は既に当たり前に手にしてるんだ?
 もそれらは態々住人に頼まなければ手に入らないようだし、
 どうぶつ達が独自に仕入れるルートでも持っているということか?」
「そうかもしれん」 ガタッ コッチヲミロコッチヲミロコッチヲ…バタン!
「おはようDIO」
「シアーハートアタック入れやがった奴がぬけぬけと……まあいい。
 奴らは“ザ・ワールド”をも、ものともしないで近寄ってきては自宅のインテリアについて話しかけてくる。
 そのポテンシャルからいうと物流を制するのも容易、ということかもしれんぞ」
「あの成りでなかなか侮れない存在だな」
「ロードローラーですら仕入れるデパートが掴んでいない物流だからな」
「「……」」
「「(いづれこのディ(略)が帝王に返り咲く為にもその経路を特定しておくべきか?)」」
「……おい、このディなんとかども、村人は旅行にも行くし引っ越しもするぞ?
 そもそもの行動範囲がお前達よりよっぽど広いということを知っておけ、下等生物がァ」





・担当

「丁度(作為的に)、全員揃った事だし、効率的に集める為に食糧の担当を決めよう。
 わたしはミルクだ。毎晩ゆっくり眠る為にこれがかかせない」
「ヴィネガ…!ビネガーはわたしが集める!ええ?文句ないだろう!ビネガーはわたしだ!二重の意味で!」
「去年はそれで死んだのに懲りないやつだな君」
「ああ、ディアボロはそれで構わないよ。
 砂糖は多めに欲しいな……はちみつは年中とれるとはいえ、やはり味が違う。
 小麦粉も欲しい……そうだな、DIOにはバターを集めてもらおう」
「なぜ、このDIOが」
「タルトを作るにはバターが必要不可欠なのに?
 量はビネガーと同じくそこまで多くなくてもいいよ。陽が沈んでからでも集められるだろう?」
「フン!」
「じゃあ、私とカーズが小麦粉か、砂糖かい?」
「……まあ、村人にくれるものを強制できるわけではないからな。最初は何を貰えても家に集めるとしよう。
 そして、総計を見てから事前交渉をして足りないものを集めるようにしていくことにする」
「分かった。食事は大切な日常生活の一部だ。12月にクリスマスもあるし、協力しよう」
「カーズもそれでいいかい?」
「つまり、魚や果物が欲しくて困っている村人(もふもふ)のところに物々交換に行って助けるのだろう?無論だ」
「では、“狩り”を始めよう」





・ちょっとその前に

「小麦粉とかはいいとして、一年分のミルクって保存効くのか?」
「……今作は、生き物も生きたままタンスのなかに保存できるんだよ。ものは腐らないし、卵だって孵らない。
 それに家のなかなら、寿命が短いはずのホタルでも冬になってもピンピンしてる。
 つまりしまって置く分は新鮮ってことだ。 カブ以外は」
「へえ、便利なんだなァ」
「今作ってなんだ」
「考えるな、感じろ」
「…………」いそいそ
今日のボス。試しに入ってみたタンスのなかで窒息死。








村長の試練―コース料理編―



・アンティパスト(前菜) 『マッシュルームサラダ』
 必要な材料:ビネガー ひらたいキノコ まるいキノコ

シェフに頼まれた食材キノコを探索中。村長はリンゴの木の下の草場の陰に毒々しい色合いのものを発見。 近寄ると倒れたディアボロの頭髪とその体。 どうしたのかと思ったらどうやら転倒した時に誤って生えていたキノコを飲み込んで詰まらせてしまっているらしい。 口に詰まって見えていた赤地に白い斑点の美しい特産「ゆうめいなきのこ」をなんとか吐き出させようとすると、 逆に喉の向こうに消えていった。

どぅるんどぅるんどぅるん!<ヒャッフー!マンマミーア!
「……お、おお……」
「うぐ……し、死んで…ない、のか?………?…なんだったんだ……?今の音は…?」
「あ、元に戻った」
「元……?」

助けたお礼にビネガー(と転倒の原因だった落っこちたリンゴ)を貰い、キノコも発見。 自分が尊敬しているイタリアンシェフに倣ってるんだと七面鳥シェフ持参の薬用石鹸で手を洗う。 マッシュルームサラダ完成。

*補足:日本人の思うイタリア人三種。マフィア、ピザ作る料理人、配管工。
     ゆうめいなきのこはとび森内に本当にあります。





・プリモ・ピアット(スープ) 『かいのクリームスープ』
 必要な材料:ホタテ ハマグリ ミルク

貝を探しに海へ。水中逃げるホタテの謎の超スピードにもめげずに捕まえ、 赤いラッコのお願いも丁寧に断ってから次の獲物であるハマグリを狙おうとした時、 海岸に人影が。村人にワカメが欲しいと頼まれ困っていたというプッチと合流することに。 なんでも、神父は泳ぐのは苦手らしい。

「今日は教会はいいんですか?」
「ああ、今日は吉良が……いや、それにしても、見ていたが君の泳ぎは素晴らしいな。
 この海岸の端から端まで泳げるって本当かい?」
「親指を痛くしながらですが」
「海底まで行けるんだものな。そういえばダイオウグソクムシも獲ったことがあるんだって?
 確か、彼らが生息している海域は水深200メートルから1000メートルだと本で読んだことがあるが、
 ……そこまで潜れるということか?」
「借金を返すのに必死で」
「君もなかなかどうして恐ろしいな。だが……それが良い……。
 、今度、君に似合う“ディスク”を探さないか?きっと君ならものに出来る筈だ。
 そうすれば、きっと……今度こそイルカにだって追いつける!」
「……言ってる事がわからない……イカならいるけど、この状況で」
「……君さ、首筋の後ろに星のあざとかないだろうね?」

警戒したプッチに獲ったワカメを渡し、 助けたお礼に(その貝を私に近づけないでくれと言われながら)ミルクとバターを貰い、シェフと一緒に料理。 途中シェフの間で話題になっている「泳ぐアワビの怪談」について教えて貰い、海で泳ぐのが怖くなりながら、 かいのクリームスープ完成。

*補足:村にイルカは居ない。ジンベイザメ(13000ベル)ならいるけど。




・セコンド・ピアット (メインディッシュ) 『カレイのムニエル』
 必要な材料:カレイ 小麦粉 ほそいキノコ

小麦粉が欲しかった村長はニゴイ(魚の一種、淡水魚)をくれたら小麦粉をあげるという村人のために 時間はかかったが見事ニゴイを釣り上げる。しかし、陽も暮れかかっていたので急いでその住民の家へと向かった。 すると、そこには小麦粉を持ったカーズの姿があり、住人の手にはピチピチのニゴイが。

「んん〜?おおー、おれのほうが早かったようだなァ、よ」
「ま……まさか……カーズさん、そのニゴイは何処産ですか?」
「 わ た し だ 」
「食品表示問題どころの話じゃない」

その後、カーズが小麦粉(吉良はああ言っていたが、おれはあくまでもふもふを助ける為であって今回はお前にめぐんでやろう)をくれ、 村長は村人の振る舞う料理には残念だけど手を出さないで置こうと決めた。
カレイのムニエル完成。






・ドルチェ (デザート) 『アップルパイ』
 必要な材料: 小麦粉 リンゴ レモン

この時点で村長は嫌な予感が確実に現実になっていることを確信していた。
村の中で普段はあまり目につかないはずの荒木荘の住人が今日は随分闊歩していた。 プッチとカーズの発言と状況的に首謀者はわかっているし、なんとか物々交換のルールは遵守されているようだったので、 まあ、やりすぎなければ……とレモンを取りながら村長が思っていた矢先、 陽が落ちてバター狩りを開始したらしいDIOと出会った。

「安心しろ……安心しろよ……カブキチ(猫)……わたしと友達になろう……バターを寄こすのだ……」
「波紋!」
「GYAAAA!!カエルの小便よりも下種な波紋なぞをよくもこの……なんだじゃあないか」
「DIOさんまで食料集めに参加してるんですか」
「吉良に叩き起こされてな。それより何故お前が波紋を知っている?腕が溶けているんだが」シューシュー
「お隣村のジョナサンさんからもしもの時の為にって」
「ジョジョォ……」

物々交換はちゃんとものを用意してやるようにDIOに注意をしてから村長は今回の首謀者だろう吉良を探そうと思った。 このままだと荒木荘以外の村人の食糧が尽きてしまう。
ちょうどその時、海の方から爆音が。






・だれもぼくを止めることはできない

想像していたよりも『普通っぽい顔のままだ』と思った……
だが、この男の顔の裏側はどんな村人よりもドス黒く呪われている。
いったい、この瞳の奥は自分のどんなおぞましい行為を見…焼きつけているのだろうか?

「スイカッ」
「やあ、 。シェフまでよんで村人の為のごちそう作りせいが出るね。
 今はデザート? もうすぐフルコース完成じゃないか。応援するよ。それじゃあ」 スタスタ
「そ、そのたくさんの『魚』はなんです?今の爆音は?」
「これかい?なかなか欲しいものが手に入らないから交換用の魚が切れてしまってね……漁をしたんだよ。
 爆弾にした小石をちょこっと海に投げいれて……フフ、一括さ。」 スタスタ
「あ、あの………いや、まずどうして立ち止まらないんですか?」
「しかし、魚を集めて運ぶだけだが痛感したよ。やっぱり体力というのは重要だ。
 そうだ今度、村にスポーツジムでも作ったらどうだい?秘書さんに要望しておこう。じゃあまた」 スタスタ
「だが断る」虫網





・ハーベストと吉良2

「ただいまー…」
「お帰り。どうだった?料理の評判は、盛況だったかい?」
「うわっ、もとに戻ってる……。良かったですよ。フルーツバスケット貰いました」
「そうお疲れ様。収穫祭ということで今日の夕飯は豪華にしてみたよ、さぁ、座って」
「……これ手に入れた食糧の一部ですか?」
「まあ、そう邪険に言わないでくれ。
 は村人の為に頑張っていたから、わたしが君に御馳走を振舞おうと思ってね」
「吉良さん……」
「それからお礼も含めて。近隣の村の“牛乳ケース(牛乳入り)”の輸入ラインを
 うちのデパートにも計らうようにすると言ってくれた君への」

――ぎゃあああ!!DIOこの!やめろッおれを巻き込むなァ―――ッ!
――たくさん生き物を創り出したから腹が減ったのだ。
――この……ッ吸引力…そして変身ッ…カーズッ名前が似ているだけのことはあるのかッ!星のカー…
――DIO!ドミネ・クオ・ヴァディス!ドミネ・クオ・ヴァディス!(どこへ行かれるのですか?)

「……吉良さん、」
「……ああ、」
「……何とかできることは何とかします」
「……」
「だから、頼むから吉良さんだけは常識を忘れないでください」
「ああ、君も。……心からお願いするよ」




そう二人で約束を交わしつつもおもむろに吉良は の手を握り、
荒木荘(村長邸)の収穫祭の夜は更けていった。







*補足:森の家具として分類されている料理や見た目収納されてる(牛乳ケースとかの)食糧の扱いは、
     とりあえず面白そうだから食べられるほうにしておきます。
     常識を大切にと言いながら村長のポテンシャルも何気に異常。さすがは戦うむらびと