相変わらず肉の芽はスペインの暑い太陽に死に続けている。
私の太陽への恋慕は思っていたよりも深いらしい。スタンドに名前をつけてはどうかという話になった。
名前を付けて存在を縛ることで操りやすくなる、らしい。
ただし、そうすることで限界というものが生まれやすくなるともいう。
名づけた途端に、本人の意図していない動きをして暴走していたスタンドが手足のように操れるようになったが、
暴走していた力ほど強力でなくなった。ということがあるのだそうだ。
つまり、私のスタンドは今現在暴走状態ということなのだろうか。ずっとこうなのでこれが通常だと思っていた。
ディオがいくつか名前の候補をくれたがピンとこない。
他人がずっとあった当たり前な自分の影に名前を付けようという不条理と違和感をわかって欲しい。
仮名“デヴァオーム”という名前を授かった。これで紫外線の壁を作れるのだろうか。また、弱体化についても懸念である。
車を避けるように進んだつけでせっかくスペインにいるのに遺跡や建築を横目に良いところに行けず仕舞いのまま、
(ガウディの建造物、メスキータ、ミハスの白い村、闘牛、パエリア……ポルボロンは食べた)
もう少しで国境を跨げるだろう。そして、辿り着くのはポルトガル。
大西洋直前の国。ヨーロッパ横断も最後になる。
国境ぎりぎりのバダホスで宿泊。
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今日中にはポルトガルのリスボンに着く予定。
郊外からだんだんと攻めていき、町に近づくにつれ予想される車の混雑にぶつかった時点で私は一足早くバイクで港に向かう。
そこで良さそうな船を選んで拝借し、紫外線対策を施した時点で車のもとにディオを迎えに行く。
食料や燃料の詰め込みはその後。
船は燃料タンク容量5000リットルの30ノット前後の速さが出るクルーザーを予定する。
巡航で一日600q進み、横断10日間を目標としてエンジンを休めながら運行する。
燃料や食糧、バイクも詰め込むのだから50フィートくらいの船があれば能力の範囲的にも希望通りだ。
設備は備え付けのギャレー、トイレ、できればシャワーも。
その船と残りの金塊との価値を比較するとぎりぎり、もしくは足りないかもしれない。
しかし、海と風が停止しているとは言え、もっと小型な船で渡るのは不安だ。
もし、海上で故障でもしたなら……エンジンは二つ付きのものが好ましい。
スペインを脱する。
準備は忙しくなるだろうし、海上に出れば船の設備によっては同行者の目を盗んで記録をつけるのは難しくなるだろうと思う。
事前に海上での無事を祈っておく。
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船を手に入れた。大方希望通り。キャビン付き。未使用の点検済み。
進水式の終わったらしい鍵を持っていた業者に金塊の欠片数個を残し、残り全てを渡す。
これで足りるかわからないがとりあえず拝んでおいた。
書類を確認。持ち主はアメリカ人。準備を開始する。
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携帯食料10、缶詰6、パン3斤、ハム一固まり、リンゴ5つ、飴一袋、チョコレート板三枚、
景気付けのワイン2瓶、紅茶、真水(船内貯蔵分630リットル。+60リットルポリタンク)
・1時間48キロ=80リットルの燃料消費。
一日13時間、624キロメートルを目標、1040リットル消費。
燃料タンク5000リットル
[海路確認]
リスボン港から西1700qアソーレス諸島ファイアル島。
3日目に到着予定。燃料残量2000リットル(+予備ポリタンク600リットル)。燃料を補充。
ファイアルを離岸、進路北西。流氷に注意。2200qニューファンドランド島。
3日目に到着予定。燃料残量1100リットル(+予備ポリタンク600リットル)。燃料を補充。
ニューファンドランド島を離岸。進路南西から西。2000q内にてアメリカ合衆国に着岸。
アメリカ合衆国4日目に到着予定。合計移動に海上10日間(準備滞在期間を含めると15日前後の予定)。
最終入船候補、ニューヨーク、マンハッタン。