たとえばね、窓ガラスをパーン!って割って飛び込んでくる都合のいいヒーローなんていないの。
壁があれば周りからは見えないし、虫の報せなんてものは所詮虫の呟きくらいでしかないものだし。
…ヒーローに透視能力があったら?ここがヒーローの家の隣っていうのなら、それもあるかもね。
でもウチの隣に住んでるのはずいぶん年を召した老夫婦だわ。むしろ、こっちが助けに向かう側よ。
だから、こんなところにいたら誰も助けになんか来てくれない。自分からHELPMEって叫ばなくちゃいけないの。
恥ずかしがっていたら、ヒーローの耳には届かないわ。
…地獄耳のヒーロー?
随分な怠け具合ね。あのね、万能な神様は論理的に否定できるの。
だから、万能な人間のヒーローなんているわけないでしょう。
叫ぶくらいなによ。声が届かない場所にしかヒーローがいなかったら?走って行きなさいよ。
縛られてたら?…どうしてそうネガティブなことばかり思いつくのかしらね。
もしかして、私を丸めこもうとしているの?貴方が勝ったところでこの状況は変わらないし、
ピンチなのは貴方も同じなのに、絶望を共有したところで絶望しかないじゃない。
だったら、無理やりでも私の希望を飲み込みなさいよ。
幸せになれるわよ?
楽しいわよ?
気持ちいいわよ?
…なら、壁越しにでもこのピンチを見抜いて?地獄耳で?万能な?ヒーローが現れると思っておく?
あー嫌だわ。ああいえばこういう人って貴方みたいな人のことをいうのよ。極論ばっかり!
ほら、そんなこと言ってないで、叫んでみなさいな。
幸いこの世界にはヒーローがいるわ。しかも複数もね。
けれど、そうねぇ…一番の適任がいるわ。炎とか炎とか炎とかどう?好きかしら?きっと快く助けてくれるわよ?
さあ、貴方が助けてほしいヒーローは一体誰かしら?
「助けて!ツンデレブルーローズ様!!」
「このオタク野郎が!」