あとがき
■ 動機
リアルタイムの映画は観れなかったので、既に世間で話題になってた佳主馬君を目当てに見始めた金曜ロードショー。
予想外にも佳主馬君ではなくて41才の駄目な方に引っ掛かることになってご覧の通りです。
この話に出てこさせた主人公は、これから起こることも知らないし、無気力なほど受け身で行動をあんまりとらないほうだし、
OZがあるのにデジタルにも詳しくない。とある展開の為に病弱っていう設定も組み込んでしまった、特に原作の流れを変えるような事はできない人です。
じゃあこの主人公で何をやらせたかったのかと言えば、フォローです。
原作の流れを侘助視点で見てみると、十年間、心血注いで作り上げたものが間違った方法で悪用されて自分の親の命を(間接的に)奪って
それを自ら壊さなければならず、壊れた事に対する家族の歓声を聞くっていう風になる。
この見方、随分贔屓目してるなぁと自分でも思います。
山の売却とお金の持ち出しの件は事実であってそれは侘助が償わなければならない事だし、
原因が分かっていたのに知らない態度だったのも頂けない。
もし、侘助が、一人でお金を返還できる物を作って、律儀にも家に帰ってきて、携帯のパスワードをばあちゃんの誕生日に設定してなかったら、
この流れでも多分どうとも思わなかったと思います。けど、そうではなかった。
携帯のパスワードが栄の誕生日だった→家族と合流して戦う→決着→
この流れで最後に家族の絆の再構築に何かしらフォローが入るのかなと思っていたら、
侘助を想っていた夏希は初恋をきっちり終わらせて健二の事を好きになって、侘助はお葬式に居ない、またこの人家族から離脱してる。
映画の最初からと比べれば絶対良い関係に持ち直したのでしょうが、最後の最後も家族じゃなくてニュースキャスターと佐久間がフォローだったのがなんだか悲しい。
栄が侘助に死ねと言って、侘助がラブマシーンの防御をゼロにして「死ね」と同義のことをしてしまうっていうのもなんとも言えなさがありました。
そこんところをフォローしてくれる人が欲しいなぁっていう欲求から作ったのが本編のフォロー専門の主人公。
侘助と家族の事をフォローし、ラブマシーンと戦いの展開をフォローし、OZの世界と現実の世界の繋がりをフォローし、
OZの技術者と陣内家の間をフォローして最終決戦の裏側的なところをちょこちょことこじつけ。
最終的に侘助が陣内家へ逃げ切らずに帰ってきて明確に良くなっている部分をはっきりするのが目標でした。
ラブマシーンの製作者としてニュースで顔出し放映されてしまった侘助さんのその後の人生の波乱万丈もなんとかフォローしてやって欲しい限りです。
後悔と反省
・いつかここでようやく半分という発言をした所から大分長くなってしまった事。
ごめんなさい見積もり甘かったです。
・年齢の適当さ。最初、主人公の年齢がもうちょい下の設定だった事が引きずりました。
話を考え終わった後で知った、侘助の年齢との(大学受験云々の)兼ね合いを考えると今のでもギリギリ。
あの2歳という設定は割とファンタジーな分類。
・理一さん関連。
・恋愛ノ心ト嫉妬ガ難シイギリィイイ!
捏造妄想文を書き終わったイグイには公式で出てる小説版を読むという恐怖の任務が残っている。
L読みました!やっぱりというより当たり前ですが差異があるので、今更ですが注意を追加して置きます。
■ ちょっぴりQ&A
Q 【主人公の病気って結局なに?】
A :結局のところは不明です。
量子力学の分野で物体を構成する量子を分解してそっくりそのまま別の場所に再構築=テレポーテーションする、
という今のところ(?)机上の空論があるそうですが、だったら、人間の情報をコンピューターの中に構築して、
その量子の状態をコンピューターが計算したら、そこに意識は生まれるのか?だとか、
有名なシュレディンガーの猫のように認識によって状態が確定するのなら、
現実の認識と夢の中の自分の存在の認識だとかそういう小難しいSFのような事情が関係しているんではないでしょうか。(丸投げ)
……デジモンを目指したかったんです。OZの世界に、頼りない翼でもきっと飛べる主人公を作りたかったんです。
Q 【主人公の両親は何者か?】
A :OZの開発者であり、あの二匹のクジラの名前を借りて(多分元ネタはビートルズのだろうけど)作り上げようとした捏造の人です。
OZの開発者はマイナーな花札のステージまで作っているから日本スキーでは?とかいう考えから。
あんまり設定を生かせなかった武田家の血筋という設定は母親の方。
Q 【背中を押したのは?】
A :栄さん説、ラブマシーン説、失くしていた過去の自分のアバター説、どれでも。
一番後者であるのなら15歳の頃の魂が戻ってきた的な感じに、
症状が微妙に改善された理由になりそうかな、とは考えたりした。
Q 【銀の靴?】
A :いきなり唐突な銀の靴でかかとを三回鳴らすというのは、知っている方はご存じの通り「オズの魔法使い」から。
OZ繋がりですね。竜巻によって魔法の世界に来てしまった少女ドロシーが元の世界に帰るために、
オズの魔法使いを探して冒険して、魔法使いを見つけるんだけど、
その人は実は魔法使いじゃなくてただの発明家で、どうしようとなった時、
今、自分が履いている魔法の銀の靴で帰れると教えられ、
かかとを三回鳴らしてアメリカのカンザスに無事帰って、めでたしめでたし。
■ ネタ
・NG変な方向に向かったもの
「そんなことより、やることがあるんじゃねぇか!?」
「あ、そうだ。お母さん!紅白まんじゅう!」
「あ、葬式まんじゅうに変えてもらわないと」
「まんじゅうの話じゃねえ!敵討だ!あのなんとかって機械をぶっ壊す!そうだろう!?」
「呆れた!」
「なんだと!?」
「次男坊ってほんとに役に立たないわね!」
なんとかかんとか、その時の三兄弟。
頼「……」
克「……」
邦「……」
頼「気にすんなよ邦彦」
克「そうだ、気にすんな」
邦「…え、あ、うん…」
あと多分、健“二”、だから健二も次男かも。
・タイトル云々
最初、タイトルは安直に夏戦争で夢だし文中にもなんか夢が出てくるし、聞いたことあるしってレベルでつけた仮題だった。
でも、そういえば映画のエンディングが「僕らの夏の夢」だったと思いだして、
例の有名な、夏の夜の夢(古い翻訳では真夏)の内容が二組の男女がいたずら好きの妖精に関係を引っかき回されて、
最終的に二組のカップルが出来て円満な関係で終わるってもの(あらすじを読んだだけ)だと知ってしっくり。
■ 最後に
今まで割と好戦的な子ばかり書いていたのでこの主人公のタイプは新鮮でした。
結果的に完結まで長い期間に跨ってしまって初期の文章にぐあああと来たり、本当にいろいろありましたが、
なんとか用意していた流れの通りに完走できました。それも、見てくださる方、拍手と応援のお陰だと思います。
何しろ、フォルダの中には書きかけで放置されて地層になった文章もどきが沢山あるので。
この家族を見つめて考える居候の話を稚拙ながら自分の持てる力の精一杯で書くことができて嬉しかったです。本当にありがとうございました!