―――“否子”の正直やってられっか―――





【・最低限のレベルでお世話される件について】


*冬編*

この格好ではいくらなんでも寒くて風邪をひきそうなのでジャージ(下)を受け取る。
着物の下に装備。快適すぎる。だが、あまりに快適なので、そのままの格好で、牧野のいる教会へ行ってしまった。 季節感のない服装同士として、お互いに親近感を持った。



裸足のせいで足の裏が霜焼けになった。かゆ…うま…じゃない。かゆ痛い。
ジャージに引き続き、澄子から小さい子が履くような、歩く度にキュッキュッって鳴る靴を渡された。
投げた。壁に当たった。響き渡る甲高い断末魔。



誕生日。澄子からお祝いと言われ、羽生蛇蕎麦を夕飯に出される。
嫌がらせか、とも思ったがどうやら本当にお祝いだったらしい。食べてみる。
寝込んだ。




【・不気味な姿で村人に声を掛けなければならない件について】


*女性編*

散策中。仕事帰りのナースを発見。
声をかけようとして、悲鳴を上げられる。逃げられた。



地図の見直し中。学校帰りらしい髪を二つに結んだ中学生女子を発見。
声をかけようとして、悲鳴を上げられる。泣かれた。



教会からの帰りの途中。一人で遊んでいたお下げの低学年小学生女子を発見。
声をかけようとして、悲鳴を上げられる。その場に蹲られた。



何日間か本気で凹んだ。





【・本編15〜17話中、不入谷教会では…】


は っ く し ょ ん !

「や、八尾さん…?大丈夫ですか?」

「…ええ、何かしら、さっきから…ッごめんなさい」

はっくしょん!くしゅん!あー…

「風邪…かしら?」

「ええ、大丈夫ですか?その、今日は、寝ていたらどうでしょう?」

「いいえ、多分、風邪ではないと思うのだけど…それに、もうすぐ美耶子様の診察の時間だもの、こうもしてられないわ」

「(…美耶子様…)…そうですか、では、そのあとは私がやっておきますから…」

「あら?そう? ありがとう救導師様。…多分、もうすぐだと思うのよ」

「え?何が…」

「美耶子様も13歳だものね。もうすぐ…もうすぐ…きっと…きっと…」

「(…八尾、さん…?)」

「きっと、もう…へっくしょん!」

「本当に、大丈夫ですか?」




【・ああ、そうそう】


「電子レンジで加熱する時、金属は危ないので気をつけるように」

「ああ、はい。火花ですね。わかってます」

「……そういう分野の記憶も?」

「か、神代に、産まれた時から……。ええ、あるんですよ、はい」

「そうですか」





【・美耶子は知っている】


「お姉ちゃん」

「どうしたの?また何かわからないことでもあった?」

「小学校の校長が女の“子”の写真ばっかり眺めてるんだけど」(幻視中)

「……気をつけようね美耶子」

「……友達に言っとく」





【・風の強い日】

バタバタバタ!
「黒衣の意味ないよこれ!」



チリン、チリン、リンリン、リンリンリンリリリリ!
「うるさいよ鈴!」



バサバサバサ!
「う、うわわ、わ……」

「えりまきのトカゲ」

「え?」

「いいえ……いいえ」

「そんな、頭かかえなくても……」